1. 江戸の防衛線と北条氏の障子堀 ― このコースの背景
「天下の険」と恐れられた箱根山を越える歴史街道ドライブ。徳川幕府が江戸防衛と治安維持のために設けた「箱根関所」と、秀吉の小田原攻めでわずか半日で落城した北条氏の山城「山中城跡」を巡ります。美しく復元された関所の建造物や、他に類を見ない山中城の「障子堀(しょうじぼり)」を見学し、交通と軍事の要衝・箱根の歴史を体感できます。
山中城の障子堀:小田原城の西の防衛線として北条氏が築城。田んぼの畝のように掘り残した構造(畝堀・障子堀)で侵入者の動きを制限する独自技術。1590年、秀吉率いる豊臣軍(豊臣秀次・中村一氏ら)の大軍に攻められ、激戦の末わずか半日で落城した。
箱根関所:「入り鉄砲に出女」を厳しく取り締まった江戸幕府の最重要関所。発掘調査と当時の資料(相州箱根関所之図)をもとに職人技で忠実に完全復元されている。
難易度・対象:初心者〜中級者向け/歴史好き・絶景ドライブ 所要時間目安:約7〜8時間(都内発着)
もう少し詳しく ― この土地で何があったか
障子堀という、北条氏の発明
山中城は、後北条氏が箱根越えの街道を押さえるために築いた、西の最前線の城です。石を積まない土の城でありながら、その防御の工夫は日本の城郭史でも際立っています。
なかでも有名なのが障子堀(しょうじぼり)です。堀の底に土の畝を格子状に残し、上から見ると障子の桟のように見えることからこの名がつきました。堀に落ちた敵は畝に区切られて自由に動けず、横へ逃げることも助け合うこともできない。関東ローム層の滑りやすい土質を計算に入れた、この地ならではの設計です。堀といえば水をためるものと思って訪れると、その発想の違いに驚かされます。
それでも天正十八年(1590)、豊臣秀吉の大軍が押し寄せると、山中城はわずか半日で落城しました。城将の松田康長らは討死しています。工夫を尽くした城が、圧倒的な兵力差の前には持ちこたえられなかった——小田原征伐の帰趨は、この半日で見えていたのかもしれません。
「入鉄砲に出女」を見張った箱根関所
時代が下って江戸時代、同じ箱根路に置かれたのが箱根関所です。東海道でもとくに厳しい関所として知られ、江戸の防衛のために「入鉄砲に出女」——江戸へ持ち込まれる武器と、江戸から出ていく女性を厳しく取り締まりました。
後者は、参勤交代で江戸に住まわされていた大名の妻子が国元へ逃げ帰るのを防ぐためです。関所は関所という建物である以前に、幕府の大名統制そのものでした。現在の関所は発掘調査と絵図をもとに復元されたもので、番所や獄舎まで再現されています。戦国の城と江戸の関所、同じ峠道に二つの時代の「守り」が並んでいるのが、この道の面白さです。
2. 山中城跡公園・箱根関所・箱根神社をめぐる車日帰りコース
| 時刻 | スポット・行程 | 見どころ・メモ |
|---|---|---|
| 08:30 | 出発:都内(首都高〜東名高速〜新東名〜伊豆縦貫道または箱根新道経由) | |
| 10:00 | 山中城跡公園![]() |
見どころ:北条氏が築いたワッフル状の「障子堀」「畝堀」と、富士山・駿河湾を望む眺め。国指定史跡 料金:入園無料。時間の制約はありません(夜間の入場は控えてください) 駐車場:2か所とも無料。大駐車場はバスも可で、営業は9:00〜17:00 トイレ:3か所(売店向かい・売店横。西木戸口は使用中止) 売店:3月〜11月 10:00〜16:00/12月〜2月 10:30〜15:30、月曜定休・年末年始休(寒ざらし団子、障子堀ワッフル) |
| 11:30 | 箱根関所・箱根関所資料館![]() |
見どころ:復元された大番所・上番所と、「遠見番所」から見下ろす芦ノ湖 入場料:大人500円・小学生250円。箱根フリーパスなど提示で大人400円・小人150円(20名以上の団体は大人350円) 営業:3月1日〜11月30日 9:00〜17:00/12月1日〜2月末 9:00〜16:30(入場は閉館30分前まで)/年中無休 駐車場:関所専用の駐車場はありません。周辺の県営・民間駐車場(有料)を利用します |
| 12:45 | ランチ:芦ノ湖畔・元箱根周辺 | グルメ:箱根の湧水を使った手打ちそば、芦ノ湖のワカサギ料理、箱根スイーツ。 |
| 14:00 | 箱根神社・平和の鳥居![]() |
見どころ:源頼朝や徳川家康も戦勝を祈願した関東総鎮守。芦ノ湖に立つ平和の鳥居 料金:境内の参拝は無料(宝物殿の料金・時間は公式サイトでご確認ください) 駐車場:参拝者用の駐車場があります。混雑時は芦ノ湖畔の有料駐車場へ |
| 15:00 | 旧東海道杉並木・箱根旧街道散策![]() |
見どころ:樹齢400年を超える杉並木が続く旧東海道の面影 料金:屋外・散策自由・無料。恩賜箱根公園から元箱根にかけての区間が歩きやすいです |
| 15:45 | 立ち寄り:箱根峠・甘酒茶屋(江戸時代から続く茶屋で名物甘酒と力餅) | |
| 16:30 | 帰路:箱根新道・小田原厚木道路経由で都内へ(18:30頃到着) |
3. 駐車場とトイレ ― 山中城跡は無料、芦ノ湖畔は有料
車で行くときの答えを先に書きます。山中城跡は駐車場もトイレも無料でそろっていますが、芦ノ湖畔は有料の駐車場を使うことになります。
| 場所 | 駐車場 | トイレ・設備 |
|---|---|---|
| 山中城跡公園 | 2か所とも無料 大駐車場はバスも可・9:00〜17:00 |
トイレ3か所(西木戸口は使用中止)。売店あり(3〜11月 10:00〜16:00/12〜2月 10:30〜15:30、月曜定休) |
| 箱根関所 | 関所専用の駐車場なし。周辺の県営・民間駐車場(有料) | 館内にあり |
| 箱根神社 | 参拝者用駐車場あり。混雑時は芦ノ湖畔の有料駐車場 | 境内にあり |
| 旧東海道杉並木 | 専用駐車場なし | 恩賜箱根公園・元箱根の施設を利用 |
山中城跡は「城歩き」としてかなり本格的です。障子堀を見下ろす西櫓・西ノ丸まで登ると、けっこうな坂と階段があります。売店の月曜定休には注意してください。寒ざらし団子や障子堀ワッフルを楽しみにしていると、月曜は空振りになります。
4. 入場料と時間 ― 有料は箱根関所だけ
このコースでお金がかかるのは箱根関所の500円だけです。山中城跡も箱根神社も杉並木も無料で見られます。
| スポット | 大人 | 時間・休み |
|---|---|---|
| 山中城跡公園 | 無料 | 時間の制約なし(夜間は控える) |
| 箱根関所 | 500円(小学生250円) 箱根フリーパス提示で400円 |
3〜11月 9:00〜17:00/12〜2月 9:00〜16:30(入場は30分前まで)/年中無休 |
| 箱根神社・杉並木 | 無料 | 宝物殿は別途 |
冬は箱根関所が16時30分で閉まり、入場は16時までです。この工程表は11時半に着く組み立てなので問題ありませんが、渋滞で遅れたときは関所を先に回してください。
5. 概算費用(大人2名・普通車1台の目安)
| 項目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 高速道路料金(往復) | 約6,000〜8,000円 | 東名〜新東名〜伊豆縦貫道、帰りは箱根新道・小田原厚木道路。ETC割引で変わります |
| ガソリン代 | 約3,000〜4,000円 | 往復でおおむね200〜230km。山道が続きます |
| 駐車場代 | 約500〜1,500円 | 山中城跡は無料。芦ノ湖畔のみ有料 |
| 入場料 | 1,000円 | 箱根関所500円×2 |
| ランチ・甘酒茶屋 | 2名で4,000〜7,000円 | そば、ワカサギ、甘酒と力餅 |
| 合計 | 2名で約14,500〜21,500円 | 高速の使い方で幅が出ます |
このコースを実際に組むなら
宿と車は、土日と連休の1か月前には埋まります。行く日が決まったら、先に押さえてください。
神奈川の宿を探す
車を借りる
横浜駅・小田原駅で借りると、そのまま行程に入れます。
駐車場を先に押さえる
観光地の周辺は、コインパーキングが満車になると行程が崩れます。1日分を予約しておくと時間の読みが立ちます。
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・史跡山中城跡 史跡公園の利用について(三島市)
・ご利用案内(箱根関所)
6. ドライブ攻略 ― ルートとグルメ
主な利用IC:伊豆縦貫自動車道「三島塚原IC」または箱根新道「箱根峠IC」
ドライブのアドバイス:箱根山周辺は天候によって濃霧が発生しやすいため、霧灯の点灯や慎重な運転が必要です。休日午後の国道1号線(小田原方面下り)は渋滞しやすいため、箱根新道やターンパイクの利用がおすすめです。
この旅の道のり
- 10:00山中城跡公園見学約75分
- 11:30箱根関所・箱根関所資料館見学約60分芦ノ湖畔・元箱根周辺
- 14:00箱根神社・平和の鳥居見学約45分
- 15:00旧東海道杉並木・箱根旧街道散策見学約30分
- 15:45箱根峠・甘酒茶屋
※モデルコースとしての目安です。時刻・所要時間は交通状況や混み具合で変わります。
山中城跡の現地写真(運営者が実際に歩いて撮影したものです)




写真は運営者が実録 歴史旅シリーズで実際に歩いたときのものです。
当サイトでは、運営者が実際に足を運んで撮影・取材した記録を「実録 歴史旅」として公開しています。





