1. 上杉謙信と石田三成が挑んだ北埼玉の要塞群 ― このコースの背景
上杉謙信による関東侵攻の激戦地となった「騎西城」、映画・小説『のぼうの城』の舞台であり石田三成の水攻めに耐え抜いた「忍城」、そして国宝「金錯銘鉄剣」が出土した「埼玉(さきたま)古墳群」を巡る北埼玉の歴史凝縮ルート。古代から戦国時代まで、武蔵国の激動の歴史を一気に辿ります。
騎西城の攻防と大久保忠隣:永禄6年、上杉謙信が小田原の北条氏を牽制するため武蔵に侵攻した際、北条方の小田氏・成田氏の支城であった騎西城(私市城)を強襲・落城させた。のちに徳川家康の重臣・大久保忠隣が2万石で入城し、陣屋町としての基盤を築いた。
忍城の水攻め(1590年):豊臣秀吉の小田原攻めにおいて、石田三成は2万人以上の大軍で忍城を包囲し、突貫工事で総延長約28kmの堤防(石田堤)を築いて利根川・荒川の水を引き込んだ。しかし成田長親ら城兵の奮戦と堤防の崩壊により水攻めは失敗。小田原本城が降伏するまで城を守り抜いた。
さきたま古墳群と金錯銘鉄剣:5世紀後半〜7世紀にかけて築造された大型古墳群。稲荷山古墳から出土した「金錯銘鉄剣」には「獲加多支鹵大王(ワカタケル大王=雄略天皇)」の名が刻まれており、ヤマト王権の古代統一国家形成を知る上で超重要史料。
難易度・対象:初心者向け/歴史好き・城郭巡り・戦国史・古代史・映画ファン 所要時間目安:約7〜8時間(都内発着)
もう少し詳しく ― この土地で何があったか
謙信も攻めた、騎西城
騎西城(私市城)は、沼地に囲まれた低湿地の城でした。弘治年間には北条方の城となり、永禄六年(1563)には上杉謙信の攻撃を受けて落城しています。関東へ何度も出兵した謙信にとって、北武蔵は避けて通れない通り道でした。
江戸時代には松平康重、ついで大久保忠隣の子・忠常が城主となります。しかし忠隣が失脚して改易されると騎西藩も廃され、城は取り壊されました。現在建つ天守閣風の建物は郷土資料館で、実際の騎西城に天守はありません。
もうひとつの水攻めの城・忍城
天正十八年(1590)、石田三成が水攻めを試みながら落とせなかったのが忍城です。三成は全長二十八キロともいわれる石田堤を築いて水を引き込みましたが、沼と深田に守られた城は「浮き城」と呼ばれるほど持ちこたえ、小田原本城が開城したあとにようやく開かれました。堤の一部は今も遺構として残っています。
金錯銘鉄剣という、日本史の一次資料
同じ行田市にある埼玉(さきたま)古墳群は、五世紀後半から七世紀にかけて築かれた大型古墳の集まりです。国の特別史跡に指定されています。
この地を全国的に有名にしたのが、稲荷山古墳から出土した金錯銘鉄剣(きんさくめいてっけん)です。錆に埋もれていた鉄剣をX線で調べたところ、金象嵌で百十五文字が刻まれていることがわかりました。そこには「辛亥年」の紀年と、大王に仕えた人物の系譜、そして「獲加多支鹵大王(ワカタケル大王)」の名が記されていました。
ワカタケル大王は雄略天皇にあたると考えられ、五世紀のヤマト王権の支配が関東にまで及んでいたことを示す、動かぬ証拠となりました。国宝に指定され、さきたま史跡の博物館で実物を見ることができます。戦国の城を二つ回ったあとに、千年以上さかのぼる古代の一次資料に会える——時代の落差がこのコースの見どころです。
2. 騎西城跡・さきたま古墳公園・忍城跡をめぐる車日帰りコース
| 時刻 | スポット・行程 | 見どころ・メモ |
|---|---|---|
| 08:30 | 出発:都内(首都高〜東北自動車道〜加須IC経由) | |
| 09:30 | 騎西城跡・騎西城福祉センター![]() |
見どころ:永禄6年に上杉謙信の攻撃を受けて落城した城。家康の関東入封後は大久保忠隣が城主に。城郭風の建物と土塁・水堀の遺構 料金:城跡の見学は無料/駐車場:敷地内に無料 ※建物内の公開日・時間は加須市の公式サイトでご確認ください |
| 10:30 | さきたま古墳公園・埼玉県立さきたま史跡の博物館 | 見どころ:日本最大級の円墳「丸墓山古墳」や「稲荷山古墳」など9基の大型古墳群。国宝「金錯銘鉄剣」の実物を展示。丸墓山古墳の頂上は石田三成が忍城水攻めの本陣を置いた場所です 観覧料:一般200円・高校生および学生100円・中学生以下無料(20名以上の団体は120円/60円)。障害者手帳をお持ちの方と付添1名も無料 開館:9:00〜16:30(入館受付は16:00まで)/7月1日〜8月31日は9:00〜17:00(受付16:30まで) 休館:月曜(祝日・振替休日・埼玉県民の日〈11月14日〉は開館)、12月29日〜1月3日 ★古墳公園の散策そのものは無料です/駐車場:無料 |
| 12:15 | ランチ:行田市内 | グルメ:行田のソウルフード「ゼリーフライ」「フライ」、名物手打ちうどん。 |
| 13:30 | 忍城跡・行田市郷土博物館 | 見どころ:続日本100名城。水濠と湿地に囲まれた「浮き城」。御三階櫓の再現建築と、成田氏・忍城攻防戦の展示 開館:9:00〜16:30(最終入館は16:00) ★休館日が変わっています。毎週月曜(祝日・休日は開館)、祝日の翌日(土日は開館)、毎月第4金曜(テーマ展・企画展の開催中は開館)、年末年始 観覧料は公式サイトでご確認ください(048-554-5911) 駐車場:無料。第1=バス4台・普通車33台、第2=普通車23台(+車いす用1台)。土日祝は行田市役所付近の臨時駐車場も |
| 15:00 | 石田堤史跡公園(忍城水攻めの遺構) | 見どころ:石田三成が忍城の水攻めのために築いた「石田堤」の遺構と、堤の断面展示 料金:屋外・見学自由・無料/駐車場:無料の駐車スペースあり |
| 15:45 | 立ち寄り:道の駅「童謡のふる里おおとね」または 道の駅「はにゅう」(地元の農産物や名物購入) | |
| 16:30 | 帰路:加須ICまたは羽生IC経由で都内へ(18:00頃到着) |
3. 月曜は避けてください ― ただし例外があります
このコースの二本柱はさきたま史跡の博物館と行田市郷土博物館。どちらも月曜が休みですが、休みの決まりが微妙に違います。
- さきたま史跡の博物館 ― 月曜休館。ただし祝日・振替休日・埼玉県民の日(11月14日)は開館。12月29日〜1月3日休館
- 行田市郷土博物館(忍城址) ― 月曜休館(祝日・休日は開館)。加えて祝日の翌日(土日は開館)、毎月第4金曜(テーマ展・企画展の開催中は開館)も休館
見落としやすいのは行田市郷土博物館の「祝日の翌日」と「第4金曜」です。連休明けの平日や月末の金曜に出かける予定なら、必ず開館カレンダーで確認してください。
ちなみにさきたま古墳公園の散策と石田堤史跡公園は、いつでも無料で歩けます。博物館が休みでも、丸墓山古墳に登って三成が本陣を置いた場所から忍城の方角を眺めることはできます。
4. 入場料は合わせても数百円です
このコースは驚くほど安く回れます。国宝の金錯銘鉄剣を見て、日本最大級の円墳に登って、それで200円です。
| スポット | 一般 | 高校生・学生/中学生以下 |
|---|---|---|
| 騎西城跡 | 無料 | 無料 |
| さきたま史跡の博物館 | 200円 | 100円/中学生以下は無料 |
| さきたま古墳公園(散策) | 無料 | 無料 |
| 行田市郷土博物館(忍城址) | 公式サイトで要確認 | ― |
| 石田堤史跡公園 | 無料 | 無料 |
そして駐車場は、このコースのすべてが無料です。騎西城跡、さきたま古墳公園、忍城址、石田堤史跡公園、道の駅。車で行く人にとって、これほど気楽なコースはそう多くありません。
5. 丸墓山古墳から忍城を見る ― この順番が正解です
ひとつだけ、回り方の提案があります。
この工程表は「さきたま古墳公園 → 忍城」の順ですが、これは歴史の順番としても正しい並びです。丸墓山古墳の頂上は、石田三成が忍城水攻めの本陣を置いた場所。三成が立った場所から城の方角を眺めてから、実際にその城へ向かう。そうすると、午後に見る忍城の水堀の意味が変わってきます。
逆回りにすると、この効果は薄れます。時間が押しても、この順番は崩さないほうがいいと思います。
トイレ。さきたま古墳公園、行田市郷土博物館、石田堤史跡公園、道の駅が基点になります。困る場面はほとんどありません。
6. 概算費用(大人2名・普通車1台の目安)
| 項目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 高速道路料金(往復) | 約3,000〜4,500円 | 東北自動車道・加須IC経由 |
| ガソリン代 | 約1,800〜2,800円 | 往復でおおむね120〜150km |
| 駐車場代 | 0円 | すべて無料です |
| 観覧料 | 2名で400円+忍城分 | さきたま200円×2。中学生以下は無料 |
| ランチ・おみやげ | 2名で3,000〜6,000円 | ゼリーフライ、フライ、手打ちうどん |
| 合計 | 2名で約8,200〜14,000円 | 入場料と駐車場が安く、費用を抑えられます |
このコースを実際に組むなら
宿と車は、土日と連休の1か月前には埋まります。行く日が決まったら、先に押さえてください。
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車を借りる
大宮駅・川越駅で借りると、そのまま行程に入れます。
駐車場を先に押さえる
観光地の周辺は、コインパーキングが満車になると行程が崩れます。1日分を予約しておくと時間の読みが立ちます。
※ 当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しています。料金・空室状況は各予約サイトでご確認ください。
・休館日・開館時間・観覧料(埼玉県立さきたま史跡の博物館)
・開館日案内(行田市郷土博物館)/駐車場案内(行田市)
7. 北埼玉の歩き方 ― ルートとグルメ
主な利用IC:東北自動車道「加須IC」または「羽生IC」
ドライブのアドバイス:各スポット間は車で15〜20分前後と非常にアクセスが良い平坦なドライブコースです。加須ICから下りて騎西城→さきたま古墳群→忍城とスムーズに北上・西進する効率的な配置になっています。
この旅の道のり
- 09:30騎西城跡・騎西城福祉センター見学約40分
- 10:30さきたま古墳公園・埼玉県立さきたま史跡の博物館見学約90分行田市内
- 13:30忍城跡・行田市郷土博物館見学約75分
- 15:00石田堤史跡公園見学約30分
- 15:45道の駅「童謡のふる里おおとね」または 道の駅「はにゅう」
※モデルコースとしての目安です。時刻・所要時間は交通状況や混み具合で変わります。
忍城・騎西城の写真







忍城の写真は運営者が実際に歩いて撮影したものです。騎西城の写真はフリー素材(写真AC)を使用しています。運営者が現地で撮影した写真は実録 歴史旅シリーズに掲載しています。
現地で撮影した写真と、説明板から起こした記録はこちらです。


