1. 秀吉の小田原攻め最大の激戦地 ― このコースの背景
北条氏康の三男・北条氏照が築いた武州の超大型山城「八王子城跡」と、その前身である「滝山城跡」を巡る戦国山城ドライブ。1590年、豊臣秀吉の小田原攻めにおいて前田利家・上杉景勝ら北方軍の大軍と繰り広げられた壮絶な攻防戦の歴史を、石垣や御主殿跡の遺構とともに辿ります。
八王子城の合戦:1590年(天正18年)、豊臣秀吉の小田原攻めで、北条氏照の本拠である八王子城に前田利家・上杉景勝・真田昌幸らの北方軍1万5千超が殺到。城主の氏照が小田原城に詰めて不在の中、わずか3千の城兵・農民・婦女子が籠城し、一日で猛攻により落城した。
「八王子」の地名由来:氏照が城内に八王子権現(牛頭天王と8人の王子)を祀ったことが、現在の「八王子」という地名の由来となっている。
難易度・対象:中級者〜歴史マニア向け/山城探訪・ハイキング・歴史遺構 所要時間目安:約7〜8時間(都内発着)
もう少し詳しく ― この土地で何があったか
一日で落ちた、関東屈指の山城
八王子城は、北条氏康の三男氏照が滝山城から本拠を移して築いた城です。標高約四六〇メートルの深沢山を丸ごと城域とし、山頂の要害部、山腹の御主殿、麓の根小屋という三層構造をもつ、後北条氏でも最大級の山城でした。
現地の説明板が伝える、滝山城から八王子城へ:東京都の滝山公園の説明板によると、氏照が滝山城を居城としていたのは永禄10年(1567年)までには確実とみられています。転機は永禄12年(1569年)10月でした。小田原城攻略に向かう武田信玄が、その道筋にあった滝山城を包囲します。拝島大日堂の森(昭島市)に陣取った武田勢は周辺の村々を焼き払い、滝山城を裸城にしたと伝えられています。このとき氏照は、古甲州道沿いの城下「宿三口」へ兵を繰り出して戦ったことを、越後の上杉謙信あての自らの書状で伝えています。そして天正10年(1582年)ごろから新しい城の築城工事が始まり、天正15年までには滝山城から八王子城へと移っていきました。信玄の来襲から13年後に、新しい城の工事が始まったことになります。
なお、八王子城跡の説明板によると、現在は154ヘクタールの範囲が国の史跡に指定されています。主要部は山頂に本丸を構え、東を城の大手(表口)、北を搦手(裏口)としている、とのことです。
滝山城跡は続日本100名城です:国指定史跡であると同時に、続日本100名城にも選ばれています。現地には「滝山城 城攻めマップ」が用意されていて、ARアプリにも対応していると書かれていました。山の神曲輪・搦め手口・滝の曲輪といった曲輪の名前が図に落とされているので、手に入れば歩きながらの理解が早くなります(配布場所は現地でご確認ください)。
二の丸の出入口、三か所すべてに角馬出:現地の「馬出」の説明板によると、虎口(出入り口)の前方に設けた空間を馬出といい、滝山城のものは方形につくられていることから「角馬出(かくうまだし)」と呼ばれています。堅固な守りになるうえ、守備する城兵が出撃するのも容易になる構えです。説明板には、二の丸の三か所の出入口それぞれに馬出が設けられている、と書かれていました。「縄張りの見事さ」と評価される理由が、ここに具体的な形で残っています。
天正十八年(1590)六月二十三日、豊臣方の前田利家・上杉景勝らの大軍が攻め寄せます。このとき城主の氏照は小田原本城に詰めており、城に残っていたのは家臣とその家族、周辺の農民など。わずか一日で落城しました。御主殿の滝では、逃げ場を失った女性や子どもが身を投じたと伝えられています。
この落城の報せは小田原城内の士気を決定的に折り、北条氏の降伏を早めたといわれます。いま御主殿跡へ渡る曳橋と石垣は整備され、当時の姿がしのばれるようになりました。静かな山ですが、ここで何があったかを知って歩くと、景色の重さが変わります。
「八王子」という地名の由来
市の名にもなっている「八王子」は、この山にまつられていた八王子権現に由来します。氏照が築城にあたって城の守護神としたことから、城の名となり、やがて城下から広がって地名として定着しました。城が地名になった珍しい例です。
もうひとつの城・滝山城
氏照が八王子城の前に本拠としていたのが滝山城です。多摩川に面した丘陵に築かれた土の城で、永禄十二年(1569)には武田信玄の猛攻を受け、三の丸まで攻め込まれながらも持ちこたえました。ただしこの経験が「この城では守りきれない」という判断につながり、より堅固な八王子城の築城を促したとされます。空堀と土塁の保存状態は関東でも屈指で、土の城の造形を味わうならこちらもおすすめです。
2. 八王子城跡 ガイダンス施設・八王子城 本丸跡をめぐる車日帰りコース
| 時刻 | スポット・行程 | 見どころ・メモ |
|---|---|---|
| 08:30 | 出発:都内(首都高〜中央自動車道〜八王子IC経由) | |
| 09:30 | 八王子城跡 ガイダンス施設&御主殿跡![]() |
見どころ:発掘復元された御主殿の石垣・曳橋と、御主殿の滝。ガイダンス施設の立体模型と解説展示 住所:八王子市元八王子町3-2664-2/042-663-2800 入館料:無料/開館 9:00〜17:00/休館:12月29日〜1月3日(臨時休館あり) 駐車場:無料。普通車50台・車いす用2台・大型バス4台(大型バスは要予約)。利用時間は9:00〜17:00 |
| 11:15 | 八王子城 本丸跡・八王子神社(要ハイキング) | 見どころ:標高約460mの山頂にある本丸跡。曲輪や詰城跡から関東平野を見渡せます ★ここは登山です。ガイダンス施設から本丸まで、往復で1時間30分前後の山道を歩きます。スニーカーなど歩きやすい靴が必須で、雨の後はぬかるみます。飲み物も持参してください 料金:見学自由・無料 |
| 12:30 | ランチ:高尾山麓・八王子インター周辺 | グルメ:八王子名物の「とろろそば」、八王子ラーメン、陣馬そば。 |
| 13:45 | 滝山城跡(滝山公園)![]() |
見どころ:武田信玄の侵攻を阻んだ中世城郭の傑作。大堀切・曲輪・馬出の遺構がよく残ります 料金:見学自由・無料 駐車場:都立滝山公園の駐車場(無料) ※こちらも土の城で、堀と土塁を歩いて回ります |
| 15:15 | 北条氏照墓所・宗格院 | 見どころ:八王子城主・北条氏照の墓所と、氏照ゆかりの寺院 料金:見学・参拝は無料 |
| 16:00 | 立ち寄り:道の駅「八王子滝山」(地元野菜・八王子銘菓の購入) | |
| 16:45 | 帰路:八王子IC経由で都内へ(18:00頃到着) |
3. このコースは全部無料です ― かかるのは交通費だけ
八王子城跡も滝山城跡も北条氏照墓所も、すべて無料で見学できます。そして八王子城跡ガイダンス施設も入館無料、駐車場も無料(普通車50台)。滝山公園の駐車場も無料です。
つまりこのコース、入場料も駐車場代も一円もかかりません。関東屈指の山城を二つ歩いて、費用は高速代とガソリン代と昼食だけ。これは書いておく価値があります。
| スポット | 料金 | 駐車場・時間 |
|---|---|---|
| 八王子城跡ガイダンス施設 | 入館無料 | 9:00〜17:00/12月29日〜1月3日休館 駐車場 無料・普通車50台(利用は9:00〜17:00) |
| 八王子城 御主殿跡・本丸跡 | 無料 | 屋外。本丸までは登山です |
| 滝山城跡(都立滝山公園) | 無料 | 駐車場 無料 |
| 北条氏照墓所・宗格院 | 無料 | ― |
ひとつ注意があります。ガイダンス施設の駐車場は利用時間が9時から17時まで。早朝や夕方に城跡を歩く計画なら、閉められる時間を頭に入れておいてください。
4. 本丸へ登るなら、それは登山です
八王子城の本丸跡は、標高約460メートルの山頂にあります。ガイダンス施設や御主殿跡は平地ですが、本丸はまったく別の話です。
往復で1時間30分前後の山道を歩きます。舗装されていない登山道で、雨の後はぬかるんで滑ります。スニーカーなど歩きやすい靴は必須、飲み物も持って行ってください。革靴やヒールでは危険です。
逆に言えば、御主殿跡だけなら平地の散策で済みます。復元された石垣と曳橋、御主殿の滝はいずれも御主殿エリアにあるので、体力に自信がない方は無理に登らなくても、この城の見どころは味わえます。
滝山城跡も土の城で、堀と土塁を歩いて回ります。こちらは八王子城ほどの高低差はありませんが、やはり歩きやすい靴で。
5. トイレと概算費用
トイレ。八王子城跡ガイダンス施設、都立滝山公園、道の駅「八王子滝山」が基点になります。本丸への登山道の途中には設備がありません。登る前にガイダンス施設で済ませてください。
| 項目 | 目安(大人2名・普通車1台) | 備考 |
|---|---|---|
| 高速道路料金(往復) | 約2,000〜3,000円 | 中央自動車道・八王子IC経由 |
| ガソリン代 | 約1,200〜2,000円 | 往復でおおむね80〜100km |
| 駐車場代 | 0円 | ガイダンス施設も滝山公園も無料 |
| 入場料 | 0円 | すべて無料で見学できます |
| ランチ・おみやげ | 2名で3,000〜6,000円 | とろろそば、八王子ラーメン |
| 合計 | 2名で約6,200〜11,000円 | 都内発の城めぐりとして、かなり安く回れます |
このコースを実際に組むなら
宿と車は、土日と連休の1か月前には埋まります。行く日が決まったら、先に押さえてください。
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東京駅・品川駅で借りると、そのまま行程に入れます。
駐車場を先に押さえる
観光地の周辺は、コインパーキングが満車になると行程が崩れます。1日分を予約しておくと時間の読みが立ちます。
※ 当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しています。料金・空室状況は各予約サイトでご確認ください。
このコースの城の御城印について
このコースに登場する滝山城・八王子城は、御城印の頒布情報を自治体や施設の公式サイトで確認できました。
滝山城・八王子城の頒布場所である桑都日本遺産センター 八王子博物館は、令和8年3月31日で閉館します。以降は郵送販売のみです(八王子市公式)。
頒布場所と料金は御城印はどこで買える? 公式で確認できた頒布情報まとめに一覧でまとめています。頒布場所や料金は変わることがあるので、お出かけ前に公式サイトでご確認ください。
・八王子城跡ガイダンス施設(八王子市)
6. 八王子の歩き方 ― ルートとグルメ
主な利用IC:首都圏中央連絡自動車道(圏央道)「八王子西IC」または中央自動車道「八王子IC」
ドライブのアドバイス:八王子城跡の「本丸」へ登る場合は険しい山道・石段が続くため、本格的なスニーカーやトレッキングシューズが必須です。御主殿跡周辺のみであれば平坦な遊歩道で散策可能です。
この旅の道のり
- 09:30八王子城跡 ガイダンス施設&御主殿跡見学約90分
- 11:15八王子城 本丸跡・八王子神社約60分高尾山麓・八王子インター周辺
- 13:45滝山城跡見学約75分
- 15:15北条氏照墓所・宗格院見学約30分
- 16:00道の駅「八王子滝山」
※モデルコースとしての目安です。時刻・所要時間は交通状況や混み具合で変わります。
八王子城跡・滝山城跡の現地写真(運営者が実際に歩いて撮影したものです)





















写真は運営者が実録 歴史旅シリーズで実際に歩いたときのものです。
現地で撮影した写真と、説明板から起こした記録はこちらです。


