東京タワーの足もとに、朱塗りの大きな門と黒瓦の大殿が構えています。芝の大本山 増上寺は、徳川家康が徳川家の菩提寺と定めた浄土宗の名刹です。歴代十五人の将軍のうち六人が眠り、境内には江戸の面影を伝える遺構が今も点在しています。運営者(佐藤秀信)が両親とともに、正月のにぎわう境内を歩いてきました。
この旅の行程
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| 時刻 | スポット・行程 | 見どころ・メモ |
|---|---|---|
| 09:30 | 三解脱門をくぐる | 見どころ:元和8年(1622)建立と伝わる、増上寺で最も古い建物。国の重要文化財 アクセス:都営三田線「御成門」「芝公園」駅すぐ/都営大江戸線「大門」駅、JR「浜松町」駅からも徒歩圏 料金:境内の参拝は自由・無料 |
| 移動:徒歩すぐ | ||
| 09:50 | 大殿と東京タワー | 大殿(本堂)と、その背後にそびえる東京タワー。境内から自由に見られます(無料) |
| 移動:徒歩すぐ | ||
| 10:10 | 徳川霊廟の面影を伝える「水盤舎」 | 徳川家の霊廟から移された建物で、極彩色の装飾が残ります。境内にあり、見学は無料 |
| 移動:徒歩すぐ | ||
| 10:30 | 手水舎で身を清める | |
| 移動:徒歩すぐ | ||
| 10:50 | 仏足石とブッシュ槙 | |
| 移動:徒歩すぐ | ||
| 11:10 | 六人の将軍が眠る場所で | 見どころ:二代秀忠、六代家宣、七代家継、九代家重、十二代家慶、十四代家茂の六人の将軍と、正室・側室ら計38人が眠ります 拝観時間:平日 11:00〜15:00(最終入場14:45)/土日祝 10:00〜16:00(最終入場15:45) 休み:火曜(火曜が祝日の場合は通常どおり公開) 拝観料:大人500円・高校生以下無料 ★大殿地下の「増上寺宝物展示室」(一般700円・中高生300円・小学生以下無料)とのセット券が1,000円。両方見るなら200円お得です。展示室も公開は平日11:00〜15:00/土日祝10:00〜16:00、火曜休で、墓所とそろっています |
増上寺の境内は自由に歩けますが、この旅のいちばんの目的である徳川将軍家墓所だけは、時間と曜日が決まっています。ここを知らずに行くと、門の前で引き返すことになります。
・火曜休み(火曜が祝日の場合は通常どおり公開)
・平日 11:00〜15:00(最終入場14:45)/土日祝 10:00〜16:00(最終入場15:45)。平日は4時間しか開いていません
・拝観料 大人500円・高校生以下無料
・大殿地下の増上寺宝物展示室(一般700円・中高生300円・小学生以下無料)と合わせるなら、セット券1,000円が200円お得です。展示室も時間と休みは墓所とそろっています
・境内、三解脱門、水盤舎、大殿からの東京タワーの眺めは、すべて無料で見られます
・アクセスは都営三田線「御成門」「芝公園」駅すぐ。都営大江戸線「大門」駅、JR「浜松町」駅からも歩けます
※拝観時間・料金は2026年8月時点で公式サイトを確認して記載しています。変わることがありますので、お出かけ前に必ず公式の情報でご確認ください。
・徳川将軍家墓所(大本山 増上寺)/増上寺宝物展示室
アクセス — 最寄り駅は「御成門」「大門」、タクシーで行く場合
増上寺は地下鉄でのアクセスがよく、都心とは思えない広い境内が魅力です。三解脱門のすぐ前に出るのは都営三田線「御成門(おなりもん)」駅で、A1出口から徒歩3分ほどです。ほかに都営大江戸線・浅草線「大門」駅から徒歩5分、都営三田線「芝公園」駅から徒歩3分、JR・東京モノレール「浜松町」駅から徒歩10分と、四方どの駅からも歩いて行けます。東京タワーからも徒歩圏なので、あわせて巡る人が多いです。
タクシーで行く場合。公式サイトのアクセス欄は最寄り駅だけを挙げていて、参拝者用の駐車場の案内はありません。車で向かうなら、タクシーで三解脱門の前まで乗りつけるのが現実的です。東京23区の運賃は最初の1.0kmまで500円、以後232mごとに100円。渋滞などで時速10km以下になると85秒ごとに100円が加わり、22時から5時までは2割増です(東京無線協同組合の認可運賃表)。アプリや電話で呼ぶと、1回500円の配車料がかかります。(2026年9月確認)
三解脱門をくぐる
参道の正面にそびえる朱塗りの門が三解脱門(さんげだつもん)。元和8年(1622年)に再建された東日本最大級の門で、江戸初期の姿をそのまま残す国の重要文化財です。度重なる戦火や震災をくぐり抜けて現存する、増上寺で最も古い建物です。「三解脱」とは、むさぼり・いかり・おろかさという三つの煩悩から解き放たれる、という意味だそうです。門にかかる白い幕には、徳川家の家紋三つ葉葵が染め抜かれ、ここが将軍家ゆかりの寺であることを静かに物語っていました。
大殿と東京タワー — 江戸と現代が重なる絶景
門をくぐって石段を上ると、正面に堂々たる大殿(だいでん)が現れます。江戸時代の壮麗な伽藍は先の大戦の空襲で焼失し、現在の大殿は昭和期に再建されたものです。その黒い大屋根の背後に、赤白の東京タワーがまっすぐ伸びています。徳川家の祈りの場と、戦後日本の象徴とが一枚の画に収まるこの景観はまさに絶景で、運営者もしばし足を止めて見上げました。正月とあって参道には屋台が並び、初詣の人波でにぎわっていました。
徳川霊廟の面影を伝える「水盤舎」
境内の一角に、極彩色の彫刻をまとった小さなお堂が建っています。これが水盤舎(すいばんしゃ)で、もとは清揚院殿=徳川綱重(三代将軍家光の三男、甲府宰相)の霊廟にあった建物です。徳川家の霊廟の多くは昭和の空襲で失われたが、この水盤舎は難を逃れ、明治期の解体を経て現在地に移されました。今では数少ない徳川将軍家霊廟建築を伝える貴重な遺構のひとつです。軒下の組物や彩色をよく見ると、かつての霊廟がいかに豪奢であったかがしのばれます。
手水舎で身を清める
参拝の前に、その水盤舎の手水で身を清めます。竹の樋を伝う水は「飲めません」との注意書きつきだが、柄杓で手を清めると気持ちが引き締まります。両親と三人、順番に手を浄めました。
仏足石とブッシュ槙
境内を歩くと、思わぬ見どころに出会います。ひとつは仏足石(ぶっそくせき)。釈迦の足の裏の形(千輻輪相)を石に刻んだもので、仏像がつくられる以前のインドでは、こうした足石で釈尊を象徴的にあらわし礼拝したそうです。増上寺の仏足石は明治14年(1881年)に建てられたもので、石の表面には車輪のような文様がくっきりと残っていました。
もうひとつはブッシュ槙(コウヤマキ)。アメリカの第41代大統領ジョージ・H・W・ブッシュ氏が副大統領時代の1982年に増上寺へ参詣した記念に、自ら手植えした樹です。徳川家の菩提寺に、現代アメリカ大統領ゆかりの木が根を張っているのも、この寺らしい懐の深さです。
六人の将軍が眠る場所で
大殿の奥には徳川将軍家墓所があります。歴代十五人の将軍のうち、ここ増上寺に眠るのは二代秀忠・六代家宣・七代家継・九代家重・十二代家慶・十四代家茂の六人。さらに、十四代家茂の正室で、公武合体のため江戸に降嫁した皇女和宮(静寛院)も、遺言によって家茂と並んで祀られています(残る将軍の多くは上野の寛永寺に眠っています)。門前には墓所拝観の案内も掲げられていました。
華やかな正月のにぎわいのすぐ隣に、これだけの将軍たちが静かに眠っています。天下を治めた徳川家の、その最期の場所に立つと、一族の想いが自然としのばれました。
実際に歩いて感じたこと
増上寺の魅力は、江戸と現代がひとつの視界に収まるところにあります。三つ葉葵の幕がかかる朱塗りの門、戦後に再び建てられた大殿、その背に伸びる東京タワー—四百年の時間が層になって重なっています。徳川霊廟の水盤舎や、六人の将軍が眠る墓所に触れると、教科書で読んだ「徳川の世」がぐっと身近に感じられます。駅からすぐで、東京タワーとあわせて半日で歩けるのもありがたい。歴史好きはもちろん、はじめての東京観光にもすすめたい一枚看板の史跡でした。
この旅の道のり
- 09:30三解脱門をくぐる徒歩すぐ
- 09:50大殿と東京タワー江戸と現代が重なる絶景徒歩すぐ
- 10:10徳川霊廟の面影を伝える「水盤舎」徒歩すぐ
- 10:30手水舎で身を清める徒歩すぐ
- 10:50仏足石とブッシュ槙徒歩すぐ
- 11:10六人の将軍が眠る場所で
※この時刻は標準的な滞在時間から組んだモデル的な目安で、当日の実際の記録ではありません。移動時間も一般的な所要時間です。
この記事で歩いた地域を、都内発の日帰り・1泊で回るコースにまとめています。















