1. 上杉・北条・武田が奪い合った激闘の城 ― このコースの背景
上杉謙信や武田信玄、北条氏康ら戦国時代のオールスターたちが幾度も奪い合い、壮絶な攻防戦が繰り広げられた武蔵国の要衝「松山城」と、古代の異空間を感じさせる国指定史跡「吉見百穴(よしみひゃくあな)」を巡るルート。比企丘陵に散在する戦国城郭の遺構と古代の謎を同時に堪能できます。
武蔵松山城の合戦史:扇谷上杉氏の重臣・難波田氏の居城。1563年、北条氏康・武田信玄の連合軍が松山城を包囲。上杉謙信が救援に向かうも、北条・武田軍の「金掘り衆(鉱夫)」を用いた地下道攻撃などにより落城した。その後も幾度となく城主が入れ替わった激戦地。
比企能員と比企氏:鎌倉幕府の創設期、源頼朝の乳母を務めた比企尼とその一族(比企能員)の本拠地。頼朝の寵愛を受け権勢を誇ったが、後に北条時政の謀略(比企の乱)によって一族は滅ぼされた。
難易度・対象:初心者〜中級者向け/歴史好き・城郭巡り・戦国史・古代史 所要時間目安:約6〜7時間(都内発着)
もう少し詳しく ― この土地で何があったか
三氏が奪い合った、比企の城
武蔵松山城は、市野川に囲まれた丘陵に築かれた城です。松山という土地は、武蔵の中央部を押さえ、北関東と江戸湾方面をつなぐ結節点にあたりました。だからこそ、この城は関東の勢力争いのたびに主が入れ替わります。
扇谷上杉氏の城として始まり、北条氏が奪い、上杉謙信が取り返し、また北条が奪い返す。永禄六年(1563)には、北条氏康と武田信玄が連合してこの城を攻めました。武田方は金堀衆を動員して坑道を掘り、城内へ攻め入ったと伝わります。越後から救援に向かった謙信は間に合わず、城は落ちました。
ひとつの城に上杉・北条・武田という戦国の主役がすべて関わる例は多くありません。空堀と土塁がよく残り、堀底を歩けるのがこの城跡の醍醐味です。
比企能員と、鎌倉の権力闘争
比企という地名の由来は、鎌倉幕府の有力御家人比企能員(ひきよしかず)にさかのぼります。能員の妻は二代将軍源頼家の乳母であり、娘の若狭局は頼家の側室として嫡子一幡を産みました。次の将軍の外戚という、この上ない立場です。
それを警戒したのが北条時政でした。建仁三年(1203)、時政は能員を自邸に招いて謀殺し、比企一族は鎌倉の小御所に籠って滅ぼされます(比企能員の変)。一幡もこのとき命を落としました。北条氏が執権として権力を固めていく過程で、最初に消された一族です。
吉見百穴という異物
近くの吉見百穴は、古墳時代後期の横穴墓群です。凝灰岩の崖に二百を超える穴がぽっかりと口を開けるさまは独特で、国の史跡に指定されています。一時は「コロボックルの住居跡」という説が唱えられたこともありました。太平洋戦争末期には地下軍需工場として掘り広げられた坑道も残り、古代と近代が同じ崖に同居している不思議な場所です。
2. 武蔵松山城跡・吉見百穴・菅谷館跡をめぐる車日帰りコース
| 時刻 | スポット・行程 | 見どころ・メモ |
|---|---|---|
| 08:30 | 出発:都内(首都高〜関越自動車道〜東松山IC経由) | |
| 09:30 | 武蔵松山城跡(東松山市)![]() |
見どころ:市ノ川沿いの丘陵に築かれた城。幾重にも重なる空堀と曲輪群が良好に残ります。国指定史跡「比企城館跡群」のひとつ 料金:見学自由・無料 ★土の城で、登城路は未舗装です。雨の後はぬかるみます。歩きやすい靴で。吉見百穴のすぐ向かい側の丘なので、あわせて回れます |
| 11:00 | 吉見百穴(よしみひゃくあな)・地下軍需工場跡![]() |
見どころ:古墳時代後期の横穴墓群(219基)と、国の天然記念物「ヒカリゴケ」の自生地 観覧料:中学生以上300円・小学生200円・小学生未満は無料(20名以上の団体は割引あり) 開園:8:45〜16:50(入園は16:30まで)/年中無休 ★地下軍需工場跡は、点検・調査のため現在立ち入りできません(吉見町公式)。開口部を外から見る形になります |
| 12:15 | ランチ:東松山・吉見周辺 | グルメ:東松山名物「やきとり」(豚かしら肉に特製辛味噌だれをつけた名物)、いちご(吉見町名産)。 |
| 13:30 | 菅谷館跡(すがややかたあと・嵐山町)![]() |
見どころ:畠山重忠の館跡で、のちに後北条氏が城郭に改修。水堀と土塁が見事に残ります。国指定史跡「比企城館跡群」の中核 料金:史跡の見学は無料 ※敷地内の埼玉県立嵐山史跡の博物館は観覧料と休館日があります(埼玉県の公式サイトでご確認ください) |
| 15:00 | 岩殿観音・正法寺 または 息障院(金剛寺)![]() |
見どころ:坂東三十三観音の第10番札所。源頼朝の命で復興され、比企能員ゆかりの地でもあります 料金:境内の参拝は無料 |
| 16:00 | 立ち寄り:道の駅「いちごの里 よしみ」(名物のお土産やスイーツ) | 駐車場:広大な無料駐車場あり。 |
| 16:45 | 帰路:東松山IC経由で都内へ(18:00頃到着) |
3. 先に知っておくこと ― 地下軍需工場跡には入れません
吉見百穴の地下軍需工場跡は、点検・調査のため現在立ち入りができません(吉見町公式)。太平洋戦争末期に掘られた巨大な洞窟は、開口部を外から見る形になります。
洞窟の中を歩けると思って行くと、期待が外れます。そのかわり、横穴墓群とヒカリゴケは変わらず見られます。219基の横穴が斜面いっぱいに開く光景は、写真で見るより実物のほうがずっと異様で、印象に残ります。
4. 費用 ― 有料なのは吉見百穴の300円だけ
| スポット | 料金 | 時間・休み |
|---|---|---|
| 武蔵松山城跡 | 無料 | 屋外・見学自由 |
| 吉見百穴 | 中学生以上300円 小学生200円・小学生未満無料 |
8:45〜16:50(入園16:30まで)/年中無休 |
| 菅谷館跡 | 無料 | 敷地内の県立嵐山史跡の博物館は別途 |
| 岩殿観音・正法寺 | 無料 | 参拝自由 |
吉見百穴は年中無休で、朝は8時45分から開いています。都内から関越道で1時間ほどですから、朝いちばんに着けば人の少ない時間に見学できます。
5. 御城印・御朱印と駐車場について
武蔵松山城の御城印は、隣接する吉見百穴の受付でいただけます(500円)。松山城跡自体には社務所や受付がないため、吉見百穴とセットで訪れるこのコースの組み立てにちょうど合っています。
岩殿観音・正法寺の御朱印は、境内の納経所でいただけます。紙朱印400円、専用の納経帳への直書きは300円。受付時間は3月〜10月が8:30〜17:00、11月〜2月は8:30〜16:00です。
駐車場。武蔵松山城跡と吉見百穴は共用の「吉見百穴駐車場」(240台・無料、8:30〜16:30)が使えます。松山城跡には専用駐車場がないので、こちらに停めて歩いて回るのが基本です。
6. 土の城を二つ歩くコースです
武蔵松山城跡と菅谷館跡は、どちらも石垣のない土の城です。空堀と土塁の中を歩くので、歩きやすい靴が必要。雨の後はぬかるみます。
ひとつ便利なことがあります。武蔵松山城跡と吉見百穴は、市ノ川をはさんですぐ向かい合っています。車を一か所に置いて、両方を歩いて回れます。この二つで午前中いっぱい使う組み立てが、無理がなくて自然です。
トイレ。吉見百穴、菅谷館跡(嵐山史跡の博物館)、道の駅「いちごの里よしみ」が基点になります。松山城跡の登城路には設備がありません。
7. 概算費用(大人2名・普通車1台の目安)
| 項目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 高速道路料金(往復) | 約2,500〜4,000円 | 関越自動車道・東松山IC経由 |
| ガソリン代 | 約1,500〜2,500円 | 往復でおおむね100〜130km |
| 駐車場代 | 0〜800円 | 道の駅は無料 |
| 観覧料 | 2名で600円 | 吉見百穴300円×2 |
| ランチ・おみやげ | 2名で3,000〜6,000円 | 東松山のやきとり、吉見のいちご |
| 合計 | 2名で約7,600〜13,900円 | 入場料が安く、費用を抑えられます |
このコースを実際に組むなら
宿と車は、土日と連休の1か月前には埋まります。行く日が決まったら、先に押さえてください。
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車を借りる
大宮駅・川越駅で借りると、そのまま行程に入れます。
駐車場を先に押さえる
観光地の周辺は、コインパーキングが満車になると行程が崩れます。1日分を予約しておくと時間の読みが立ちます。
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・吉見百穴・ヒカリゴケ(吉見町)/営業時間の変更について(吉見町)
・比企城館跡群 松山城跡(吉見町)
8. 東松山の歩き方 ― やきとりとグルメ
主な利用IC:関越自動車道「東松山IC」
ドライブのアドバイス:東松山ICからのアクセスが抜群で、各史跡間も車で10〜15分圏内と非常にコンパクトで走りやすいルートです。松山城や菅谷館跡は土の城郭遺構が見事なため、足元のしっかりしたシューズでの訪問がおすすめです。
この旅の道のり
- 09:30武蔵松山城跡見学約75分
- 11:00吉見百穴(よしみひゃくあな)・地下軍需工場跡見学約60分東松山・吉見周辺
- 13:30菅谷館跡見学約75分
- 15:00岩殿観音・正法寺 または 息障院見学約45分
- 16:00道の駅「いちごの里 よしみ」
※モデルコースとしての目安です。時刻・所要時間は交通状況や混み具合で変わります。
現地で撮影した写真と、説明板から起こした記録はこちらです。





