【実録】栃木・群馬の城めぐり ― 栃木城・大田原城・皆川城から佐野城・館林城まで 1泊2日

今回は、栃木県と群馬県にまたがって、江戸時代の城と陣屋の跡をめぐる一泊二日です。運営者(佐藤秀信)が妻とともに、栃木城から大田原城・烏山城、皆川城、二つの佐野城、そして群馬の館林城まで、次々と城跡を訪ねました。いずれも天守は残らず、土塁や堀、そして説明板を頼りに歩く“いぶし銀”の城めぐり。あいだに陶芸体験や、思いがけない神社との出会いもはさんだ、歴史好きにはたまらない二日間になりました。初日は奥湯西川温泉に一泊しています。

1日目

目次

栃木城跡 ― 皆川氏が移り住んだ城

まずは栃木城から。ここは、戦国の名族皆川氏の当主・皆川広照が、本城の皆川城からこの地へ移して築いた城です。しかし慶長14年(1609)、広照が徳川幕府の怒りにふれて改易となり、城は取り壊されてしまいました。今は堀跡や土塁の一部と「栃木」の地名が残るのみですが、城下町に暮らした皆川家の家臣・坂本與兵衛が、のちに寺子屋を開いた——といった土地の物語も、説明板が伝えてくれます。

泊まった宿:奥湯西川温泉。山あいの静かな湯宿でゆっくり体を休め、翌日の城めぐりに備えました。

2日目

大田原城 ― 戊辰の危機を乗り越えた城

二日目は、栃木県北の大田原城から。現地の説明板によれば、天文14年(1545)に大田原資清が築いて以来、廃藩まで約326年にわたる大田原氏の居城でした。幕末の戊辰戦争では西軍(新政府軍)の拠点となり、旧幕府軍の攻撃を受けましたが、火薬庫の爆発が敵をひるませ、落城をまぬがれたと伝わります。土塁と空堀が良好に残り、小藩の城らしい静けさが漂っていました。

那須氏の烏山城

続いて烏山城へ。那須与一で知られる名族那須氏ゆかりの山城で、続日本100名城にも数えられています。城域は山の上に広がり、麓には「烏山城趾」への道標が立っていました。

陶芸体験でひと休み

城めぐりの合間には、ろくろを回して陶芸体験。土の感触にふれながら器を成形するのは、思いのほか夢中になれる時間でした。歴史一色になりすぎない、旅のよい息抜きになりました。

忠臣・鳥居元忠を祀る精忠神社

壬生の町で、予期せず出会えたのが精忠神社です。祭神は、関ケ原の合戦の前哨戦で伏見城を死守し、壮絶な最期を遂げた徳川の忠臣鳥居元忠(精忠霊神)。のちに壬生藩主となった鳥居家(元忠の子孫)が、先祖を祀ったお社です。予定していなかった参拝でしたが、思いがけずゆかりの神社に出会えたのは、この旅の幸運なひとこまでした。

壬生城 ― 濠の美しい、将軍ゆかりの城

壬生城は、戦国の壬生氏の城を起こりとし、江戸時代には日光社参の将軍が宿泊する城として整えられました。正徳2年(1712)以降は鳥居氏三万石の居城となり、明治まで続きます。本丸の土塁と、水をたたえたお濠が美しく、城跡公園として気持ちよく歩けました。石垣に映る水面が、静かで印象的です。

難攻不落の山城・皆川城

栃木城の“前身”にあたるのが、皆川氏の本城皆川城です。標高147mの山を丸ごと城とし、階段状に曲輪を連ねた姿から「法螺貝城(ほらがいじょう)」とも呼ばれ、県内でも指折りの古く堅固な山城として、難攻不落と称えられました。慶長14年(1609)に皆川氏が改易となって廃城となりましたが、山肌に刻まれた堀切や曲輪の跡が、往時の防御の厳しさを今に伝えています。

二つの佐野城 ― 春日岡城と堀田佐野城

佐野には、時代の異なる二つの「佐野城」があります。ひとつは、唐沢山城主・佐野信吉が慶長7年(1602)に山城から移して築いた佐野城(春日岡城)。ところが築城まもない慶長19年(1614)、佐野氏が改易となって廃城となりました。堀切や石畳・石垣が良好に残る、佐野市指定史跡です。もうひとつは、幕末の文政11年(1828)に堀田正頌が築いた堀田佐野城で、明治2年に廃城となった別の城。同じ「佐野城」でも、時代も場所も違うのが面白いところです。

旅の締めは館林城(群馬)

締めくくりは、群馬県に入って館林城へ。尾曳城(おびきじょう)とも呼ばれ、沼を要害とした平城で、徳川四天王の榊原康政や、五代将軍となる徳川綱吉も城主を務めた、由緒ある城です。沼辺の文化を伝える日本遺産「里沼(さとぬま)」の構成文化財にもなっています。復元された三の丸土橋門と土塁が残るこぢんまりとした城跡ですが、白壁の門をくぐると、確かな趣が感じられました。

実際に歩いて感じたこと

この二日間は、天守のそびえる有名な城ではなく、廃城となって静かに眠る城跡ばかりを訪ねる旅でした。それでも、説明板と土塁・堀を頼りに歩けば、皆川氏や大田原氏、佐野氏といった土地の武士たちの物語が、しっかりと立ち上がってきます。「法螺貝城」と称えられた難攻不落の皆川城、水濠の美しい壬生城、思いがけず出会えた鳥居元忠の精忠神社、そして小さいながらも趣のある館林城——ひとつひとつは地味でも、歩けば歩くほど味わいが増していきました。派手さはなくても、歴史好きにはたまらない、満足度の高い城めぐりだったと思います。

この旅の道のり

  1. 1日目栃木城跡皆川氏が移り住んだ城一泊
  2. 2日目大田原城戊辰の危機を乗り越えた城車で約40分
  3. 那須氏の烏山城車で約40分
  4. 陶芸体験でひと休み車で約1時間
  5. 忠臣・鳥居元忠を祀る精忠神社徒歩すぐ
  6. 壬生城濠の美しい、将軍ゆかりの城車で約30分
  7. 難攻不落の山城・皆川城車で約40分
  8. 二つの佐野城春日岡城と堀田佐野城車で約30分
  9. 旅の締めは館林城群馬

※移動時間は一般的な所要時間の目安です。撮影時刻の記録が残っていないため、時刻は省いています。

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