1. 老中の城・順天堂・陸軍連隊 ― このコースの背景
江戸幕府の大老・老中(土井利勝や堀田正睦ら)を輩出した「佐倉城」を中心に、日本の近代医学の礎となった蘭学塾「佐倉順天堂」、そして日露戦争の英雄・秋山好古も関わった「陸軍歩兵第57連隊(佐倉連隊)」の遺構を一度に巡るルート。江戸の土塁城郭、幕末の蘭学、明治〜昭和の陸軍史がひとつの街に凝縮された濃密な歴史体験ができます。
老中の城と土塁の美:佐倉城は徳川家康の命を受けた土井利勝が築城。幕府の東の防衛拠点であり、幕末の老中・堀田正睦(開国派として知られる)など多くの幕府重臣を輩出した。石垣を使わず巨大な土塁と空堀のみで構成された美しい城郭。
蘭学の聖地・佐倉順天堂:開国派藩主・堀田正睦の招きで佐藤泰然が佐倉順天堂を開設。「西の長崎、東の佐倉」と並び称されるほど全国から優秀な蘭方医が集まった。
陸軍歩兵第57連隊と秋山好古:明治維新後、佐倉城跡には陸軍の歩兵第57連隊(佐倉連隊)が設置された。『坂の上の雲』で知られ「日本騎兵の父」と称される秋山好古も若き日にこの佐倉連隊で大隊長を務めた。日露戦争などで勇名を馳せた部隊の訓練遺構が城址内に今も遺る。
難易度・対象:初心者〜中級者向け/歴史好き・城郭巡り・近代史・医学史・散策 所要時間目安:約7〜8時間(都内発着)
もう少し詳しく ― この土地で何があったか
老中を輩出した、土の城
佐倉城は、江戸の東を守る要として重視され、城主には代々幕府の要職を務める譜代大名が置かれました。歴代城主から老中が何人も出ていることから「老中の城」と呼ばれます。
なかでも知られるのが幕末の堀田正睦(ほった まさよし)です。老中首座として日米修好通商条約の交渉にあたり、開国はやむなしという立場から朝廷の勅許を得ようと京へ上りました。しかし孝明天皇の同意は得られず、失意のうちに老中を辞します。時代を読み違えなかったがゆえに、時代に潰された——そういう政治家でした。
城郭としての佐倉城の特徴は、石垣をほとんど用いず、土塁と空堀で構成されていることです。近世城郭でありながら中世の土の城の技法を受け継いでおり、その土塁の造形の美しさは城好きのあいだで高く評価されています。日本100名城のひとつです。
蘭学の聖地・佐倉順天堂
堀田正睦は蘭学の擁護者でもありました。天保十四年(1843)、佐藤泰然を招いて開かせたのが佐倉順天堂です。ここは単なる診療所ではなく、西洋医学を教える学塾でもあり、全国から医学生が集まりました。麻酔のない時代の外科手術の記録が残っています。
「西の長崎、東の佐倉」と呼ばれた蘭学の中心地であり、のちの順天堂大学へとつながります。旧建物は佐倉順天堂記念館として公開されています。
軍都・佐倉と、秋山好古
明治に入ると、佐倉城跡には陸軍歩兵第五十七連隊が置かれ、城は取り壊されて兵営となりました。日本各地の城が同じ運命をたどっていますが、佐倉もその一例です。
この地に縁があるのが、日本騎兵の父と呼ばれる秋山好古です。司馬遼太郎『坂の上の雲』で知られる人物で、佐倉に置かれた騎兵部隊の指揮官を務めました。城跡を歩くと、土塁の脇に兵営時代の遺構が並んでいます。中世の土の城、幕末の政治、近代医学、そして軍隊——ひとつの丘に四つの時代が層になって残っている、稀有な場所です。
2. 佐倉城址公園・国立歴史民俗博物館・佐倉順天堂記念館をめぐる車日帰りコース
| 時刻 | スポット・行程 | 見どころ・メモ |
|---|---|---|
| 08:30 | 出発:都内(首都高〜東関東自動車道〜佐倉IC経由) | |
| 09:30 | 佐倉城址公園・佐倉城跡&陸軍遺構![]() |
見どころ:日本100名城。巨大な土塁と空堀に加えて、陸軍歩兵第57連隊(佐倉連隊)の訓練用鉄柱・階段・弾薬庫跡など近代の遺構が同居する独特の史跡 料金:公園の散策は無料 駐車場:あり。桜と菖蒲の時期は満車になります(佐倉市公式)。大型車は「佐倉城大手門跡」広場駐車場へ |
| 11:10 | 国立歴史民俗博物館(歴博)![]() |
見どころ:佐倉城の本丸・中ノ門跡に隣接する日本最大級の歴史博物館。原始・古代から現代まで 入館料(2026年3月17日改定):一般900円・大学生500円・高校生以下無料(20人以上の団体は800/400円) 開館:3月〜9月 9:30〜17:00(入館16:30まで)/10月〜2月 9:30〜16:30(入館16:00まで) 休館:毎週月曜(休日の場合は開館し翌平日休館)・年末年始・特定の火曜 |
| 12:40 | ランチ:佐倉城下町 | グルメ:佐倉名物「大和芋(とろろご飯)」、佐倉の地酒や味噌を使った郷土料理。 |
| 13:50 | 佐倉順天堂記念館![]() |
見どころ:天保14年に佐藤泰然が開いた蘭医学塾・診療所(現在の順天堂大学の起源)。藩主・堀田正睦の支援のもとで種痘や外科手術が行われました 開館:9:30〜16:30(入館は16:00まで) 休館:月曜(祝日の場合は翌火曜)・12月28日〜1月4日 3館共通入館券(武家屋敷・旧堀田邸・順天堂記念館)が一般600円・学生300円。単館より確実に安くなります ※支払いは現金のみ(佐倉市公式) |
| 14:45 | 佐倉武家屋敷&竹林の小径(ひよどり坂)![]() |
見どころ:関東最大級の武家屋敷群(旧河原家住宅・旧但馬家住宅・旧武居家住宅)と、侍が通った「ひよどり坂」の竹林 開館:9:30〜16:30(入館は16:00まで)/月曜休(祝日の場合は翌火曜)・12月28日〜1月4日 3館共通券が使えます(一般600円・学生300円) ※ひよどり坂の散策は無料 |
| 15:40 | 旧堀田邸(重要文化財)![]() |
見どころ:最後の佐倉藩主・堀田正倫の邸宅と庭園。国の重要文化財・名勝 入館料:一般350円・学生170円。小中学生は土日祝が無料(団体は240/120円) 3館共通券なら一般600円・学生300円 開館:9:30〜16:30(入館は16:00まで)/月曜休(祝日の場合は翌火曜)・12月28日〜1月4日 駐車場:佐倉厚生園病院の駐車場内に見学者用14台。大型車は佐倉城大手門跡の広場駐車場へ |
| 16:30 | 立ち寄り:酒々井プレミアム・アウトレット または 道の駅「八千代」 | |
| 17:15 | 帰路:佐倉ICまたは酒々井IC経由で都内へ(18:30頃到着) |
3. 券の買い方 ― 3館共通券で確実に安くなります
佐倉の文化財施設は武家屋敷・旧堀田邸・佐倉順天堂記念館の3館で、このコースはその全部を回ります。個別に買うより、3館共通券のほうが確実に安くなります。
| 券 | 一般 | 学生 |
|---|---|---|
| 旧堀田邸(単館) | 350円 | 170円/小中学生は土日祝無料 |
| 3館共通入館券 | 600円 | 300円 |
| (団体) | 420円 | 210円 |
旧堀田邸だけで350円ですから、2館目に入った時点で共通券のほうが得になります。3館すべてを回るこのコースなら、迷う余地はありません。
そしてもうひとつ大事なこと。支払いは現金のみです(佐倉市公式)。カードや電子マネーは使えないので、小銭を用意して行ってください。
4. 月曜は成立しないコースです
このコースは、月曜に行くとほぼ何も見られません。
- 国立歴史民俗博物館 ― 毎週月曜休館(休日の場合は開館し翌平日休館)
- 武家屋敷・旧堀田邸・佐倉順天堂記念館 ― いずれも月曜休館(祝日の場合は翌火曜)。12月28日〜1月4日も休館
つまり月曜に開いているのは佐倉城址公園とひよどり坂だけ。城跡歩きだけならそれでも成立しますが、順天堂も歴博も見られません。ここは必ず確認してから出かけてください。
閉館時間もそろって早めです。文化財3館は16時30分閉館で、入館は16時まで。歴博も10月から2月は16時30分閉館(入館16時まで)です。この工程表は15時40分に旧堀田邸へ着くので、入館の締め切りまで20分。少しでも遅れると入れません。旧堀田邸を先に、武家屋敷を後ろに回すほうが安全です。
5. 入場料と概算費用(大人2名・普通車1台)
| スポット | 大人 | 時間・休み |
|---|---|---|
| 佐倉城址公園・陸軍遺構・ひよどり坂 | 無料 | 散策自由 |
| 国立歴史民俗博物館 | 900円(大学生500円・高校生以下無料) | 3〜9月 9:30〜17:00/10〜2月 9:30〜16:30/月曜休館 |
| 文化財3館(武家屋敷・旧堀田邸・順天堂記念館) | 共通券600円(学生300円) | 9:30〜16:30(入館16:00まで)/月曜休館・12月28日〜1月4日/現金のみ |
| 入場料の合計 | 1,500円 | 高校生以下なら歴博が無料になります |
このコースを実際に組むなら
宿と車は、土日と連休の1か月前には埋まります。行く日が決まったら、先に押さえてください。
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車を借りる
千葉駅・成田空港で借りると、そのまま行程に入れます。
駐車場を先に押さえる
観光地の周辺は、コインパーキングが満車になると行程が崩れます。1日分を予約しておくと時間の読みが立ちます。
※ 当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しています。料金・空室状況は各予約サイトでご確認ください。
| 項目 | 目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 高速道路料金(往復) | 約3,000〜4,500円 | 東関東自動車道・佐倉IC経由。ETC割引で変わります |
| ガソリン代 | 約1,800〜2,800円 | 往復でおおむね110〜140km |
| 駐車場代 | 0〜500円 | 城址公園も旧堀田邸も見学者用の駐車場があります |
| 入場料 | 2名で3,000円 | 歴博900円+共通券600円の2名分 |
| ランチ・おみやげ | 2名で4,000〜8,000円 | 大和芋のとろろご飯、地酒 |
| 合計 | 2名で約11,800〜18,800円 | 駐車場代がほぼかからないのが利点です |
駐車場とトイレ。佐倉城址公園には広い駐車場があり、トイレもあります。旧堀田邸は佐倉厚生園病院の駐車場内に見学者用14台(大型車は佐倉城大手門跡の広場駐車場へ)。歴博にも駐車場があります。ただし桜と菖蒲の時期は城址公園の駐車場が満車になります(佐倉市公式)。
・開館時間・入館料(国立歴史民俗博物館)
・旧堀田邸(佐倉市)/佐倉順天堂記念館(佐倉市)/佐倉武家屋敷(佐倉市)
・佐倉城址公園(佐倉市)
6. 佐倉の歩き方 ― 城下町とグルメ
主な利用IC:東関東自動車道「佐倉IC」または「酒々井IC」
ドライブのアドバイス:都心から佐倉ICまで約50分〜1時間とアクセス抜群です。佐倉市内の史跡(城址・順天堂・武家屋敷)は数km圏内に集積しているため、車を拠点パーキングに停めてゆっくり散策するのにも向いています。
この旅の道のり
- 09:30佐倉城址公園・佐倉城跡&陸軍遺構見学約90分
- 11:10国立歴史民俗博物館見学約90分佐倉城下町
- 13:50佐倉順天堂記念館見学約45分
- 14:45佐倉武家屋敷&竹林の小径見学約45分
- 15:40旧堀田邸見学約40分
- 16:30酒々井プレミアム・アウトレット または 道の駅「八千代」
※モデルコースとしての目安です。時刻・所要時間は交通状況や混み具合で変わります。
佐倉城址公園の現地写真(運営者が実際に歩いて撮影したものです)



写真は運営者が実録 歴史旅シリーズで実際に歩いたときのものです。
現地で撮影した写真と、説明板から起こした記録はこちらです。





