新幹線で行く京都・奈良、一泊二日の後編です。二日目は、あいにくの雨のなか古都奈良へ。興福寺・春日大社という藤原氏ゆかりの地から、東大寺の大仏まで、天平の祈りにふれました。そして帰り道、京都に立ち寄って新選組の八木邸へ――古代から幕末までを二日で貫く旅を、最後の最後まで欲張って締めくくりました。
2日目・奈良
興福寺 ― 藤原氏の氏寺、よみがえった中金堂
まずは興福寺から。平城京への遷都とともに藤原氏が営んだ氏寺で、かつては壮大な伽藍を誇りました。近年、朱もあざやかに再建された中金堂が、天平の大寺の威容をよみがえらせています。雨に濡れた朱の柱が、かえって凛として見えました。
春日大社 ― 神鹿と朱の回廊
春日大社は、藤原氏の氏神を祀る古社で、世界遺産「古都奈良の文化財」の一つ。杉木立の参道では、神の使いとされる鹿がのんびりと歩いていました。朱塗りの回廊に無数の釣灯籠が下がる光景は荘厳そのもの。雨に洗われた朱色が、しっとりと深く映えていました。
東大寺 ― 天平の大仏、聖武天皇の祈り
そして東大寺へ。「大華厳寺」の額を掲げた壮大な南大門をくぐると、運慶・快慶らが刻んだ迫力の金剛力士像(仁王)が門の左右をにらんでいます。世界最大級の木造建築である大仏殿の中に、盧舎那仏(奈良の大仏)が静かに鎮座していました。奈良時代、聖武天皇が国じゅうの力を結集して造立した大仏です。見上げるほどの大きさの前に立つと、天平の人々が込めた祈りの深さに、ただ圧倒されました。
八木邸 ― 帰りに寄った、新選組の原点
奈良をあとにして、帰りの新幹線までのあいだに、京都・壬生の八木邸(八木家住宅)へ立ち寄りました。ここは、新選組が結成の地としてはじめに屯所を置いた、壬生郷士・八木家の旧宅です。青と白の暖簾と「誠」の旗が、幕末そのままの空気を今に伝えています。中ではボランティアの方が資料を広げながら、この屋敷で起きた芹沢鴨暗殺の惨劇などを、生き生きと語ってくださいました。教科書では味わえない“その場所で聞く物語”は格別で、旅の最後にふさわしい濃い時間になりました。京都市指定有形文化財のこの旧宅を出て、新幹線で帰路につきました。
実際に歩いて感じたこと
新幹線を使った一泊二日で、これほど時代を大きく旅できるとは思いませんでした。二日目の奈良で古代・天平の大仏と藤原氏の社にふれ、一日目の京都では室町・戦国・幕末までを歩き――古代から幕末までを二日で一望する、稀有な旅になりました。二日目はあいにくの雨でしたが、濡れた朱の社殿や大仏殿は、かえってしっとりと心に残っています。じつは法隆寺にも足を延ばすつもりでしたが、少し距離があり、帰りの新幹線に間に合わないため今回は泣く泣く断念しました。その心残りは、次に奈良を再訪する楽しみにとっておこうと思います。二日間とは思えない、ぎゅっと凝縮した、忘れられない歴史旅でした。
この旅の道のり
- 2日目・奈良
- 興福寺藤原氏の氏寺、よみがえった中金堂徒歩約15分
- 春日大社神鹿と朱の回廊徒歩約15分
- 東大寺天平の大仏、聖武天皇の祈り電車で移動
- 八木邸帰りに寄った、新選組の原点
※移動時間は一般的な所要時間の目安です。撮影時刻の記録が残っていないため、時刻は省いています。
運営者が自分の足で歩き、現地で撮影した記録を集めたシリーズです。ほかの地域の記録もあわせてどうぞ。












